俺のはなし
彼女とは多くのものが似ていた。
似てるだけで、全く同じだというわけではなかった。
性格も、言葉も、見た目も。
少しずつ何かが違っていて、
それは彼女と話す度に俺は違和感を感じるようになった。
「僕は病んでいないと僕じゃないから」
いつもと変わらない冷たい声で彼女は言う。
笑ったり、夢を見たり、友達を作ったり…
普通の人の持つ可能性すら、彼女には許されない。
彼女と俺はよく似ているが、俺には許されていた。
「楽にしてよ、もう」
彼女を楽にするという事は、彼女が病まないようにすればいい。
しかし彼女が病まなければ、彼女は存在しなくなる。
その先は楽なのか、俺には分からない。
けれど、彼女は望んでいた。
「俺がずっと一緒に居るから、安心してよ」
俺の嘘は彼女に届いた。
最後に笑顔を残して、彼女は消えた。
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